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2006年8月
8月31日 内覧会の意義

 あるマンションにフロアーコーティングの施工に行った時の話。

玄関ドアを見てみると、チェックシートが貼ったままになっていた。
そう、内覧会の時に指摘事項を記入する、ゼネコン仕様のチェックシートだ。

そこには無数の矢印と、指摘事項がびっしりと書き込まれていた。
おそらく補修作業が終わったときに、はがすのを忘れたのだろうと思われる。
その数実に90数箇所。

全てを見たわけではないけど、その指摘の実に些細なこと。
そのほとんどが些細な傷・汚れの類。
傷なのか汚れなのか?判断のつかない内容も多々ある。

マンションの室内を引き渡すまでに、携わる作業員の数は数十人。
その全ての作業員は、おそらくこの部屋の指摘を見て、さぞ自信をなくしただろうと思う。

オートメーション化された近代的な工場で製造される電化製品と比較すると、住宅の建設現場の環境は実に劣悪と言わざるを得ない。
何かが問題なのではなくて、建設現場とはそういったもんだろう。

ほとんどの作業員は厳しい修行を経て、高いモラルをもって作業している。
『適当に手を抜いて、ちゃっちゃと終わらせよう。』なんて思っている職人は、ほとんどいない。
それでもどうしても傷・汚れが付いてしまう。
またそれに気が付かないことも良くある。
ほとんどは悪意を持って行われたことではない。

大きな“ざっくり傷”はともかく、こんな些細な事を指摘する為に内覧会があるとしたら、実に悲しいことだと思う。

いまから4〜5年前までは、新築マンションの引渡しの実情は、それはひどい状態だった。

ドアはちゃんと閉まらない。
あちこちにざっくり傷のオンパレード。
窓は傾いている。

それらの改善を求めても、販売会社も、ゼネコンも一切取り合ってくれない。
そういう現状を何とかしようと、内覧会の立会いのプロが、登場した。

現在では、それらのプロのおかげで引渡しの現状はかなり改善されたと言っても良い。
いや、むしろ過敏になりすぎている気がする。

私は内覧会は、マンション契約者としての最低限の権利の主張の場と捉えている。

言い方を変えれば、この権利の主張が通っているならば、むしろ契約者側と製造する側は、もっと仲良く良い関係をキープするべきだとも思う。

クロスに付着した針の穴ほどの汚れを取り除いても、取り除かなくても、不動産の価値に何ほどの変化はないのだから。



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